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イタリア:移転価格文書に関する新規定について


<イタリア>

Law Decree No.78/2010 は、グループレベルで使用されている移転価格の適合性を証明するための文書化を規定し、イタリア税務当局による更正に関する行政上のペナルティを免除することを可能にしました(いわゆる、ペナルティ保護)。


2020年11月23日、イタリア税務当局は、前述の文書化(マスターファイル、ローカルファイル等)の構成と内容を、2020年の課税事業年度から2017年のOECD移転価格ガイドラインに沿って更新しなければならないとする規定を発表しました。


したがって、更新されたマスターファイルは、5つの章で構成される必要があります。


1.企業グループの構成に関する事項

2.企業グループの事業概況に関する事項

  • 多国籍企業グループの事業に係る収益の重要な源泉

  • 多国籍企業グループの主要製品または役務に係るサプライチェーンの概要(企業グループの売上上位5製品または役務、並びにグループの売上の5%を超える製品または役務に関する上記情報

  • 多国籍企業グループの関連者間で行われる役務提供に係る重要な取り決めの一覧及び当該取決めの概要

  • 主要製品または役務に関する主要な地理的な市場の概要

  • 多国籍企業グループの構成事業体が付加価値の創出において果たす主たる機能、負担する重要なリスク、使用する重要な資産など構成事業体の主たる貢献の概要等を取りまとめた機能分析

  • 対象年度における多国籍企業グループの事業再編、事業買収及び事業売却の概要

3.企業グループの無形資産に関する事項

  • 多国籍企業グループの無形資産の開発、所有及び使用に関する包括的戦略の概要

  • 多国籍起業グループの移転価格税制上重要な無形資産およびそれらの法的に所有する構成事業体の一覧

  • 多国籍企業グループの無形資産に関する関連者間で行われる重要な取決めの一覧

  • 多国籍企業グループの研究開発及び無形資産に関するグループ内移転価格ポリシーの概要

  • 対象年度内における重要な無形資産の持ち分のグループ内譲渡に関する概要

4.企業グループの金融活動に関する事項

  • 多国籍企業グループの資金の調達方法の概要

  • 多国籍企業グループの中心的な金融機能を果たす構成事業体の概要

  • 多国籍企業グループ内の金融取引に係るグループ内移転価格ポリシー

5.企業グループの財務状況等に関する事項


一方、更新されたローカルファイルには、現地法人(イタリア子会社やイタリア恒久的施設)に関する以下の情報が含まれている必要があります。


  • 現地法人の概要

    • 対象法人の組織図、経営及び運営形態、及び対象法人の管理者が報告する被報告者及びその者の所在する国に関する説明

    • 当年度または過年度において、対象法人が関与したまたは影響を受けた事業再編または無形資産譲渡の有無

    • 主要な競合他社

  • 関連者間取引

    • 各関連者間の重要な取引と取引概要の説明

    • 各関連者間取引の取引額

    • 各関連者間取引に係る関連当事者及びその関係

    • 各関連者間取引に係る契約書のコピー

    • 各関連者間取引に関する詳細な機能分析

    • 最適な移転価格算定方法の選定、その選定理由、及び検証対象法人の選定理由

    • 移転価格算定方法を適用するにあたっての重要な前提条件、複数年度検証を実施する理由の説明

    • 独立した比較対象企業または比較対象取引の選定方法及びその情報源の説明

    • 実施した差異の調整に関する説明

    • 選定した移転価格算定方法を適用した結果、対象取引が独立企業間原則に則して行われたと結論付ける理由の説明

    • 移転価格算定方法を適用するにあたり使用した財務情報

    • 関連者間取引に関連する既存の国内・二国間・多国間事前確認、その他税務ルーリングのコピー

  • 財務情報

    • 対象法人の対象年度の財務諸表(監査報告付)

    • 移転価格算定方法の適用に際して使用する財務データ(セグメント損益等)が、対象年度の財務諸表からどのような調整、計算がなされて作成されているかについての情報

    • 比較対象企業に関する財務データのサマリーとその情報源

  • 添付書類(企業間協定、ユニラテラル/バイラテラル/マルチラテラルAPA等)


新規定は低付加価値サービスについても規定しており、対象となるサービス(低付加価値とみなされる理由や関連会社間でのサービス提供の理由を含む)、サービスを規定する主な契約、サービスを評価するための量的基準等を記述することを目的とした簡略化されたアプローチを採用することができます。

 

ご不明点等がございましたら、お気軽にお問合せください。

※詳細なお問い合わせ内容については、イタリアのGGIメンバーとお繋ぎすることも可能です


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